ハゲデミックはアカンウィルス2  (さんきゅう 普通の人)

私の名前は”さんきゅう”。へんな名前だ。性別不詳。ときどきなんで”さんきゅう”なんて名前を親がつけたのかと考えてしまう、昔なら、両親がいてきくこともできるんだけれど、この時代、親は存在しないのだ。昔だったら、両親がいないと、孤児でかわいそうということになるが、みんな政府の計画によって、子供は生まれてくるのでみんな同じだ。でも、誰が”さんきゅう”なんて名前をつけたのだろう。

’一級”、”二級”、三級”のグレードの”さんきゅう”なのか。確かに、私はどこにでもいるような並の人間。吉野家の牛丼の並といっしょ? いや、そんなことはない。

犯人はきっとあいつだ。政府の人工知能だ。きっとてきとうに名前をつけたんだ。人工知能の名前は何だっけ?

たしか、”ゆいな”だ。もともとは、LINEのチャットボットだったくせいに、政府が進化させて、人間を管理するようになったんだ。”ゆいな”、じぶんだけ可愛い名前はずるい。せめて、”いっきゅう’なら許せる。昔、’いっきゅうさん”という人気者のお坊さんがいたらしいし、人気バンドのボーカルの女性も”いっきゅう’だったらしい。

ところで、私の名前なんかどうでもいいでしょ。年齢は人工知能が管理してるから、気にしなくていいし、誕生日も知らない。だから、自己紹介っていっても何の特性もない。ふつうの人だ。国籍だって、もう世界には一つの国、一つの世界しかないんだから関係ない。国境も、あのアカンウィルスのハゲデミックが起きて依頼なくなってしまった。ウイルスをなくすために世界がひとつになったことはよいことだと思う。

住む場所も”ゆいな”が決めている。私は東京に住んでいる。言葉も、すでに頭に埋め込まれたチップでコミュニケーションがとれるようになったので必要なくなった。

考えてみると、昔のほうがよかったような、そうでないような気もする。

私の仕事はワンちゃんやネコさんの管理。早い話がペット屋さんで働いている。

ワンちゃんやネコさんは人工知能と関係なく、ワイルドに生きている。なんだか、人間と同じようにしようという意見があったらしいが、動物保護団体の反対で、昔ながらに生まれて、昔ながらに生活して、昔ながらに死んでゆく。ときどき、ワンちゃんやネコさんのほうがいいなと思ってしまう。

さて、そろそろ仕事に行く時間。準備をしなくっちゃ。

今日は金髪ショートのウィッグにして、ジーンズと伝説の女性ロックンローラーのジョーン・ジェットの大きな顔がデザインされたT-シャツを着ていこう。ファッションは自由だ。人工知能に管理されない楽しみのひとつ。

注文したマクドナルドのモーニングセットがドローンで到着。窓をあけてうけとって食べる。

熱いコーヒとチーズバー。食べるものは自由に選べる。そこまで管理されたら、きっと反乱が起きるでしょう。

出勤は屋上にバスがやってくる。空を飛ぶバス、昔だったらそんなのありえへんとみんな思うかもしれないけれど、そんなのあったらいいなと誰かが思うと、それは未来には実現している。それも、”ゆいな”が進化したことで驚くほど早く実現している。これは、いいなと思えるんだけど・・・、なんだか、やっぱり、昔のほうがよかった気もする。

今日は何か面白いことはあるかな。

 

 

 

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